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知的財産権講座(108)

和歌山大学顧問

杉本特許事務所所長弁理士 杉本勝徳

 「商標について」C
 商標法第3条には登録できない商標を列挙しているが、第3条第1項第3号には次のような規定がある。「商品の産地、販売地、品質,原材料、効能、用途、形状(包装の形状を含む)、生産若しくは使用の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格・・(略)・・を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」は登録できないという規定だ。

この規定は同条項第1号の規定と同じ理由で登録出来ないとした。すなわち誰でもが使用し、商標としての自他商品識別力の乏しい標章は登録させないのが商取引の現場では相応しいからである。産地及び販売地というのは言い換えれば「地名」そのものは登録できないという規定で、これは当然のことでもある。指定商品「りんご」に 「青森」と言えば林檎の産地であり販売地でもある。林檎の取引業者及び需要者にとって「青森」を登録されてしまうと、登録者以外は使用できなくなるばかりでなく、自他商品識別力を欠いて、登録商標としての機能が発生しないことになる。

中国で10数年前に指定商品りんごに「青森」が登録された例がある。指定商品みかんに「和歌山」が登録された例もある。中国の商標登録制度と審査に正確さを欠いていると言えばそれまでであるが、商標法は日本と殆ど同じであるから審査がお粗末と言う他ない。


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