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知的財産権講座(113)

和歌山大学顧問

杉本特許事務所所長弁理士 杉本勝徳

「商標について」H
 商標法第3条第1項は第1号〜第6号に登録できない場合を列挙しているが、第2項では第1項の特例を設けている。第2項の条文は以下の通り「前項第3号から第5号迄に該当する商標であっても、使用された結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるものについては、同項の規定にかかわらず商標登録を受けることができる。」と規定されている。

この法律の意味するところは、本来登録できない商標であっても、永年使用したり集中的に宣伝広告した結果、何人かの商標であるかを認識出来たものについては登録を認めると言う趣旨である。過去の実際の実績を見ると「河内ワイン」「ワンカップ大関」「純生」「本生」等がある。「河内ワイン」については地名と商品名に過ぎないにも関わらず永年使用した結果、何人かの商標であることが認識されたので登録になった。「ワンカップ大関」(清酒)も同じである。「純生」(ビール)「本生」(ビール)については短期間に集中的に宣伝広告された結果3条2項の適用を受けたものだ。

この規定の適用を受けるためには、先ず同業他社が同じ商標を使用していないこと、次に有名になるための努力の結果としての相当の宣伝や出荷量のエビデンスが必要であり、特許庁は簡単には2項適用を認めていない。

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