和歌山大学顧問
杉本特許事務所所長弁理士 杉本勝徳
「不正競争防止法について」A
不正競争防止法(以下不競法という)第1条第1項第1号の規定は「他人の商品等表示・・・として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し・・・他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為。」であると前回述べた。
不競法の本規定は最も重要な規定であり、最近もフリーライド(ただ乗り)しようとしてしばしば争いになる。その保護の対象は知的財産権所有の有無に係わらず、他人の模倣を保護するものであり、その適用の要件は以下の通りである。先ず、自己の商品表示(商標とか意匠など)が周知であること(需要者の間に広く認識されている)、次に他人の商品表示と同一又は類似であること、第3に自己の商品表示と他人の商品表示が商品又は営業と混同を生じさせる行為であること。
「商品」は一般的な物販のもので「営業」とはサービス業に於いてそれぞれ混同するもので、例えば運送業において「○○宅急便」として使用すれば、登録商標権者の「クロネコ」で周知なヤマト運輸と混同を起こすことになるので本条項の適用となる。「宅急便」の文字を使用していなくても、黒ねこが黒ねこをくわえている有名な図形とそっくりであれば、やはり本号が適用になると思われる。混同を起こすかどうかは客観的なエビデンスが必要だ。
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