和歌山大学顧問
杉本特許事務所所長弁理士 杉本勝徳
「商標について」R
前回は商標法第30条の「専用使用権」について述べたが、今回は商標法第31条規定の通常使用権について述べる。第1項には「商標権者は、その商標権について他人に通常使用権を設定することができる。」とあり、商標法第30条第4項には特許法第77条4項を準用しており、そこには「専用実施権者は特許権者の承諾を得た場合に限り・・通常実施権を設定できる」と規定されている。
すなわち、特許権者も専用実施権者も通常実施権(特許法では通常実施権という)を設定出来ることになっている。このことから商標においても商標権者及び専用使用権者のいずれも通常使用権を設定することができることになる。では通常使用権とは如何なるものかを説明する。 専用使用権は商標権者に代わって権利を行使することになり,特別な規定がないと商標権者も商標権を行使できないことになる野で民望上物権的であるが通常使用権は債権と位置づけられる。
この事は不動産に於いて土地所有者が借地権を設定して借地者が家を建ててしまうと、地主もその土地を利用出来ないのと同じだ。専用使用権は一つであるが、通常使用権は複数設定することができるし、商標権者も商標権を使用できる。この点に置いて専用使用権と異なる。尚、専用使用権は成立の法的効果について特許原簿に登録しないと効力が発生しない。
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